可変リアウィングを装着
杉原さんが新たな決断をした。
それは、「ウィング」をつけて、さらに艇体を浮かすこと。
前回は、最高速が176km/hどまりだったが、走行姿勢がこれまでになく良かった。艇体が水面から気持ちよく離水し、さらなるスピードアップへの準備が整ったと思えるような走りだった。
フロントスポンソンは“ゲタを履かせた”成果により、その分、水面からより離れていたし、フロントスポンソンの接水面積も最小と言えるまでになった。水の抵抗がグンと減ったわけで、これは効果抜群だったといえる。
一方リアエンドは、多少「引きずられている感が残っていた」と杉原さんは言う。
リアエンドでは、ドライブを油圧システムに変更するなど重量増があったし、さらにフロント部分のリフトアップができたことにより、相対的に前上がり・後ろ下がりとなっているのは事実。
そこで、これまでもなんども構想を練っていた「リアウィング」製作・装着になったのだ。
ここでいう「リアウィング」は、クルマで言う車体をほどよく路面に押しつける = ダウンフォース狙いのそれとは全く正反対の狙い。KRS-001Xの場合、水の上を走る乗り物でありながら、最も厄介なのが「水の抵抗」。いかにスムースに水から艇体を浮かすかが、最高速への条件だ。
つまり飛行機の翼と同じ「浮き上がらせる」役割を持つ。
杉原さんは、こうしたことを考え、速度域によって自由に「風の取り込み具合」を調整できるよう、リアウィングを油圧による可変システムとした。100km/h以下では出番が全くないし、やみくもに艇体が持ちあげられればいいというものでもない。速度域によってアジャストする必要があるからだ。
エンジンパワーは十分にある。災難続きだったプロペラシャフトの問題もすでに解決済み。信頼性も十分にある。
今後はスムースに素早く加速し最高速を狙っていかなければならないのだ。
その必需品がこの可変リアウィングなのだ。
ゴールデンウィーク明けには、テスト結果をお知らせできるかもしれないので、今しばらくお待ちを!
それは、「ウィング」をつけて、さらに艇体を浮かすこと。
前回は、最高速が176km/hどまりだったが、走行姿勢がこれまでになく良かった。艇体が水面から気持ちよく離水し、さらなるスピードアップへの準備が整ったと思えるような走りだった。
フロントスポンソンは“ゲタを履かせた”成果により、その分、水面からより離れていたし、フロントスポンソンの接水面積も最小と言えるまでになった。水の抵抗がグンと減ったわけで、これは効果抜群だったといえる。
一方リアエンドは、多少「引きずられている感が残っていた」と杉原さんは言う。
リアエンドでは、ドライブを油圧システムに変更するなど重量増があったし、さらにフロント部分のリフトアップができたことにより、相対的に前上がり・後ろ下がりとなっているのは事実。
そこで、これまでもなんども構想を練っていた「リアウィング」製作・装着になったのだ。
ここでいう「リアウィング」は、クルマで言う車体をほどよく路面に押しつける = ダウンフォース狙いのそれとは全く正反対の狙い。KRS-001Xの場合、水の上を走る乗り物でありながら、最も厄介なのが「水の抵抗」。いかにスムースに水から艇体を浮かすかが、最高速への条件だ。
つまり飛行機の翼と同じ「浮き上がらせる」役割を持つ。
杉原さんは、こうしたことを考え、速度域によって自由に「風の取り込み具合」を調整できるよう、リアウィングを油圧による可変システムとした。100km/h以下では出番が全くないし、やみくもに艇体が持ちあげられればいいというものでもない。速度域によってアジャストする必要があるからだ。
エンジンパワーは十分にある。災難続きだったプロペラシャフトの問題もすでに解決済み。信頼性も十分にある。
今後はスムースに素早く加速し最高速を狙っていかなければならないのだ。
その必需品がこの可変リアウィングなのだ。
ゴールデンウィーク明けには、テスト結果をお知らせできるかもしれないので、今しばらくお待ちを!
3分割式はもはや限界!
結果として、この1月下旬のテストは、前回、前々回に続きプロペラシャフトにトラブルが起きてしまった。
プロペラシャフト(センターシャフト)のスプライン部が折れてしまったのだ。
シャフト両端をリジッド式に変更したことは前にも書いたが、結果としては、センターシャフトの接続部分(ここだけスプライン式)にすべての力が逃げ集中し、シャフトの材質そのものがこのねじれ、振動などに耐えることができなかったという結論だ。
杉原さんによれば、その直前キャビテーションが起きて急激に回転が上がったとのことで、この瞬間的な負荷が原因の一つ。さらにシャフトの材質そのものがすでに限界であること、またブラケットの強度、サポートベアリング部のブッシュのアソビなど、悪条件が重なり結果として、このように折れてしまったのではないだろうか、とのこと。
杉原さんは、ここで、3分割式をあきらめ、前々から試してみようと考えていた長さ4メートル強の1本もののシャフトへ変更することに決めた。
折れたシャフトを並べてみると、やはり明らかに長い。スタッフのみなさんと共に杉
原さんもシャフトを眺めながら、しばしシャフト談義。
プロペラシャフト(センターシャフト)のスプライン部が折れてしまったのだ。
シャフト両端をリジッド式に変更したことは前にも書いたが、結果としては、センターシャフトの接続部分(ここだけスプライン式)にすべての力が逃げ集中し、シャフトの材質そのものがこのねじれ、振動などに耐えることができなかったという結論だ。
杉原さんによれば、その直前キャビテーションが起きて急激に回転が上がったとのことで、この瞬間的な負荷が原因の一つ。さらにシャフトの材質そのものがすでに限界であること、またブラケットの強度、サポートベアリング部のブッシュのアソビなど、悪条件が重なり結果として、このように折れてしまったのではないだろうか、とのこと。
杉原さんは、ここで、3分割式をあきらめ、前々から試してみようと考えていた長さ4メートル強の1本もののシャフトへ変更することに決めた。
折れたシャフトを並べてみると、やはり明らかに長い。スタッフのみなさんと共に杉
原さんもシャフトを眺めながら、しばしシャフト談義。
ものすごくタイトなエンジンルーム
前回書いた排気管テールエンドのショートカットの結果がこれ。
エンジンルームの光景はこの写真のように大きく変わった。
それにしてもこれだけタイトな船内(エンジンルーム)にエンジンをはじめそれに付随するさまざまなモノがしっかり、さらにピッタリおさまっているのはすごいとしか言いようがない。簡単に「エンジンを降ろしてメンテ」などと言うが、降ろすのも載せるのも、相当に大変なことは容易に想像がつく。
というわけでテスト中に駆動系・・・主にプロペラシャフトにトラブルは集中しているが・・・に何か起きた場合には、杉原さんは、この写真のように、エンジンルーム後端のガソリンタンクを外して、船内に入っていく。
そこで見える光景が後ろまで伸びるプロペラシャフトとそれを支えるサポート部だ。
とにかく、一筋縄ではいかない、大変な苦労の連続だといえる。
で、結局、1月下旬のテストではどうなったかと言えば、またしてもプロペラシャフトのトラブルが発生、その場で走行テストが中止となってしまった。
「固い」水を切り裂いて推進力を生むプロペラ
コクピットにおさまるドライバー杉原さんの背中、バルクヘッド一枚後ろには8.2リッターのV8エンジンがおさまっている。N.A.のキースエーカーならばおよそ1000馬力。このパワーはプロペラシャフトを介して、ボート最後端のスターンドライブユニット(MerCruise No.5)に伝達され、最終的にプロペラを回し、これがKRS-001Xの推進力となる。
クルマで言うなら、ミドシップ(middle of ship・・・まさにコトバの通り)レイアウトの後輪駆動のようなもの。スターンドライブユニット自体は、油圧によってコクピットから水への刺さり具合(角度)を調整できるから、つまりトラクションのかかり具合、発進・加速時のボートの水面に対する角度(接水面)を調節しながら、静止状態から発進、加速をしていくことができる。
そして、直接水を掻き分けボートを前に進める力を生み出すのがプロペラ。刃物のように鋭いエッジを持ち、「固くなった」水を切り裂いている。このプロペラは、クルマのタイヤ以上に種類が豊富、というより、ボートの重量やエンジン回転数、走る場所の水質(硬水、軟水)、求めるスピードなどなど条件によってワンオフ製作するものと考えても良い。
写真のプロペラは左がKRS-001X用のもので、直径およそ44cmのピッチ29。右は一般的なプレジャーボート用で、見た目からしてもその迫力の違いがわかる。
クルマで言うなら、ミドシップ(middle of ship・・・まさにコトバの通り)レイアウトの後輪駆動のようなもの。スターンドライブユニット自体は、油圧によってコクピットから水への刺さり具合(角度)を調整できるから、つまりトラクションのかかり具合、発進・加速時のボートの水面に対する角度(接水面)を調節しながら、静止状態から発進、加速をしていくことができる。
そして、直接水を掻き分けボートを前に進める力を生み出すのがプロペラ。刃物のように鋭いエッジを持ち、「固くなった」水を切り裂いている。このプロペラは、クルマのタイヤ以上に種類が豊富、というより、ボートの重量やエンジン回転数、走る場所の水質(硬水、軟水)、求めるスピードなどなど条件によってワンオフ製作するものと考えても良い。
写真のプロペラは左がKRS-001X用のもので、直径およそ44cmのピッチ29。右は一般的なプレジャーボート用で、見た目からしてもその迫力の違いがわかる。