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    製作過程の一部を公開!

    杉原さんは、千葉・市川のMGマリーンさんのご協力のもと、KRS-001Xを水面に降ろし、テストランを行っている。その場にたまたま居合わせた人、対岸にいて走りを見た人など、最近ではずいぶん「走り」を目撃したことのある人が増えているよう。

    多くの人から聞かれるのは、誰が作ったんですか?・・・という質問で、それにはモチロン、製作者はドライバーでもある杉原さんですよと答えているが、やはり作る人と乗る人は別と考える人が多いようだ。確かに、カーレーシングの世界では分業化は進んでいるが、ことボートに関しては、作る分野においても、乗る分野においても、ヨーロッパやアメリカのように、豊富に人材があるわけではない。それぞれの分野で突出した経験を持つのが、杉原さん自身であるがゆえ、どちらの分野もまず本人がやるということだと思う。

    杉原さんのドライバーとしてのキャリアは(詳しくはプロフィールを)オフショア、インショアのどちらもあり、ボートビルド、エンジン製作の経験も同様。さらにはF-1ワールドチャンピオンチームであるイタリアDACにおいて、徹底的に品質管理をされたファクトリーでのコンポジット材を用いたレースボートビルドや、緻密なエンジン製作経験が、このKRS-001SXの製作には大きな影響を及ぼしていると思われる。


    テストランがスタートして早3ヶ月。現段階は、乗って、チューニングし、確認し、さらに煮詰めていくという作業の果てしない繰り返しの段階で、全てのデータが杉原さん自身に集まり、サポートしてくれるスタッフの手を借りながら一段一段ステップを登っていているという状況。波一つ一つの受け方、エンジン回転とプレーニングの状況、ハル各部の接水状況など、メーター類だけでは確認できない「体感」が必要な部分からさまざまな情報を得、これらを通してシビアに各部調整、またはハルのモディファイなどを行うかどうかを決めている段階だ。

    一週間後(7/17)には、イベント(江戸川・水フェスタ in いちかわ)に出展され、3月のボートショウに続いておおくの人の目に触れることになると思うが、イベントを見に行く人も、またこれまで当ブログを読んでいてくれている人も、以下のような製作過程の写真を見ると、その見方も少し変わってくるかもしれない。

    骨組み1
    何枚も重ねられたバルクヘッド周りに幅1cm程度の細長い板を貼り付け曲面を生み出しているのがわかる(撮影:杉原さん)
    骨組み3骨組み2
    後部も同様に1cm単位で「面」が作られていく。気の遠くなるような作業の末に「入れ物」の原型はできるが、コクピット、エンジンルーム、プロペラシ
    ャフトの通路など、くりぬいておかなければならない場所も多数。ケブラーを使った補強などはまだまだ先・・・という状況の時の写真だ。

    TEST RUN


    速いからカッコイイのか、カッコイイから速いのか

    ずいぶん前の話のようになってしまうが、3月のボ-トショウでの来場者の皆さんのKRS-001Xを見たときの反応は、本当に面白かった・・・というか予想以上のものだった。その場で色々な感想を耳にしたけれど、やはりゼロから作り上げたというのが、どうにも信じにくかったようだ。

    おそらく、ボートショウに来るような人たちなら、色々なボートを見てきているだろうし、ボートオーナーも多かったと思う。普通のVハルのボートならば「そりゃ、大変だけど、できないってことはないよね?」と思われたのじゃないかと思う。実際、「自作艇の世界」と言うのがボートやヨットにはあるし、雑誌で取り上げられることがある。
    しかし、このKRS-001Xは、そういう人たちの目から見ても「ボートばなれ」しているように映ったようだった。色が黒だったり、明確な運転席がなかったり(見えなかったり)、カタマランでもないし・・・と言うことだったと思う。

    ボク個人が、製作過程を見て感じた凄さは、これだけの大きさで、たくさんの大きい「面」があるなかで、そのディテールに滑らかな曲線(面)がたくさんあることだった。ボートショウで、このKRS-001Xを「なんだか、凄い!」と思わせたもののひとつには、この削りだしたような曲面があったのではないかと思う。

    曲面01

    細かく見ていけば、通常のプロダクションボートにだって曲面はもちろんある。しかし、パッと見では、やはりスッと描いたような「線」が基調になっていると思う。それに比べて、うねるような曲面は、やはり、「違う何か」を多くの人に感じさせたのではないかと思う。
    というのも、シェイクダウンなどで、何度もこのKRS-001Xを見てきているが、そのたびに、こんなところに、こんなラインがあったっけ? という新発見がけっこうな頻度である。

    曲面02

    でも、これらの数々の造形は、それぞれに意味があり、言ってみれば「機能美」であるわけだ。実は、杉原さんと話をしていて、水から上の部分は空力的にOKなら問題はない・・・と思っていた僕は、びっくりさせられることがあった。
    というのは、水に直接触れない部分、艇体の大半の部分がそうなわけだけれど、走航中に水面から上がってきたスプレーを艇体への抵抗にしないように上手に後ろに流してしまうような機能も、ある部分では求められる・・・と聞いたのだ。水から上の部分は風洞実験でも明らかになったように、杉原さんのデザインには、文句のつけようがないすばらしいものだし、「空気との関係さえ良好ならばOK!」と考えていた僕は、これにはちょっとびっくりした。

    つまり、空気を上手い具合に切り裂きながら進み、さらにまとわり付くスプレーにも、からまれないような、そんなことから、このうねりのある艇体のデザインは生まれた、ということだ。

    理由のないデザインはない・・・。




    ステアリングシステムを変更か?

    KYB製電動パワステを、はじめてレーシングボートの世界に持ち込んだのは杉原さんだった。1周2.5km前後の左右コーナーがあるレースコースを50周回というF1インショアの世界で、これほど待たれていたものはなかった。それまでの「ドラム」を回すだけの「重ステ」は体力を奪うだけでなく、(今振り返れば)戦意喪失にもなりかねないような状況だったらしいが、今やほとんどの参戦チームがこれを採用している。

    このプロジェクトでも杉原さんは、そのノウハウから、KRS-001Xに電動パワステを採用したが、やはりF1インショアとは状況が違い、V8、8.2Lのパワーは、このシステムには重荷だったらしい。


    プロペラ01ドライブ01
    ドライブはマークルーザーNO.5.ステアリングを切ると、連動したドラムがワイヤーを巻き込み、ドライブに付属するプレート(通称ブーメラン)が、
    巻かれたワイヤーに引っ張られ首を振る=向きを変える、というシステムなのだ。ちなみにプロペラの直径は40cm以上。中心軸より下の羽根が
    常に水をかき、上半分は、水面から上に出ている


    F1インショアは、マーキュリーV6、3Lで500馬力ほど。ボートも全長6.4mほどでふたまわりも小さい。つまり当然プロペラも小さければ、パワーもトルクも小さい。杉原さんが4500まで回した・・・とテストで言ったのは、これ以上はステアリングを直進状態に保てない、その限界が4500回転、およそ150kmhだったというわけだ。それほど、プロペラの回転トルクが影響してくるというのだ。前回のテストは、この4500回転までの状況を見ると、直進状態を保つのを邪魔するものがなければ、もっと踏めたわけで、早速ステアリングシステムの変更に取り掛かった。どういう状態になったかは、6月上旬のテストが終わった段階で、このブログでも報告するが、油圧システムの採用がどうやら本命となりそうだ。しかし、このシステムは重量増が懸念される。

    ただ、今のところ、モディファイしたハルがどこまでイケるのかを見極めるのがもっとも重要だし、エンジンに関しても、もっともっと回して、それで何か問題が出ないかを確かめるのが先決である。リアの重量増についても、スピードがもっと上がるにつれて、さらによりよいプレーニング状態になれば、さほど問題にならないかもしれない・・・まずは、このハルをあらゆる速度域で試すことが先決と言ってもいい。・・・やってみるしかないのだ。

    ”速いカタチ”っていうものが、カラダの中に埋め込まれている!

    少し前に、杉原さんがこの最高速チャレンジの構想を始めたのは2000年代に入ってからのことだと思う、と書いた。で、その後2005年にスケールモデルの第一弾ができ、見せられた僕は非常にびっくりした、とも書いた。

    さて、今回はその続きのハナシ(お待たせしました)。そう、最初のものよりもっと現実的なスケールモデルができあがってきたのだ。サイズは1/10。そしてそれをなんと、あの由良拓也さんが自身のMooncraftの風洞実験室を使ってテストしてくれるというハナシになったというからまたびっくり! この風洞実験室こそが、さまざまなレーシングカーが、サーキットで勝利を収めるためにくぐりぬけなくてはならない場所で、そこで実験ができるというのだから、ホント凄い。2006年1月のことだった。

    最初のスケールモデルと違い、このときの第二弾モデルは、よりリアルに作り上げられたように見えた。細部がさらに煮詰められて、なんかとても「速そう」なオーラが出ている・・・。ずっとスリムになって、ひょいと投げたら飛んで行きそうな、そう、まるで飛行機のような雰囲気。でも、こういうのって感覚的に“キテるなあ“っていうの必要だと思う・・・とか色々考えながら、いざ、秘密の実験室(?)へ。

    風洞実験室へ
    写真の左側、ボートの正面から風を出し、ボートがその風をどのように受け、やり過ごすか、ボートを取り巻く風(空気)の流れを見ることができる。
    ボートの上を滑らかに空気が流れているのが見える。


    果たして結果は・・・。由良さんいわく、
    「圧力の中心が非常に良いポイントにあって、相当性能がイイですね」とのこと。

    文系アタマのボクには、まったく上手く説明できないんだけれど・・・結果は、数値的には360kphが出る、しかし、この時点でボートのハルは水に接触せず、プロペラのみが水に触れている状態で、その状態こそがまさに最高速を出している姿なのだということらしい。それって、つまり、あくまでデータ的にだから、完全無風で水は一切波立たずフラットで、水面すれすれを、舞い上がりもせず、水の抵抗に引っかかることも無く滑走(滑空?)していること・・・って現実的にはありえない?

    実際、ボートの姿勢はさまざまな外的要因(だけではないけれど)によってめまぐるしく変わるし、それによって、風圧の受け方は、ボートの色々な部分で変わる・・・し、そうすれば、あちこちのポイントが接水することもあるし、そこに受ける水の抵抗は、相当に大きいものだし・・・と。このスピード域では、もう完全に空力を考えなくてはならないってことなのだ。水の抵抗は空気の抵抗の800倍とのことだから、水に触れさせないで、しかも舞い上がらせない究極の姿勢バランスをいかに保つか・・・それが、最高速への条件ともいえるように思えた。

    風洞実験2
    赤い毛糸がきれいに風になびいている。これはこの部分を流れる空気がスムースだということを意味している。それはそれでいい事なのだが、た
    だ、少しでもボートの角度を変えてみて、今度はいきなり毛糸が乱れだす・・・となると、それはそれなりに問題だとか。つまり、ある程度ゆるいこと
    も必要で、あまりピーキーでは、実際のドライビングでは苦労させられてしまうのだ。



    さらに、由良さんにお話を聞いてみた。
    「今回は杉原さんのデザインを風洞で検証してみるということ、そして図面のお手伝いをしましょうっていうことなんです。でも、これ、相当プロっぽいっていうか、杉原さんって、造形のセンスが非常にある人だと思いますよ。昔はきっと工作少年だったんでしょう、このできばえですからね。いままでの経験からきっと“速いカタチ”っていうものが、カラダの中に埋め込まれているんでしょうね。じゃなければ、こういうもの普通はできてこないですよ・・・!」

    これは、あの由良さんからのコトバ(ホントです)なのだから、これ以上の褒めコトバはない! つまり、やはりボクが感じていたように、とんでもない人なのだ。でも一方で、360kphとひとくちに言うけれど、これは相当なチャレンジである・・・ということも、こうしたハナシを聞くとリアルにわかってくるのも事実だ。

    さらに一方で、図面のお手伝い・・・っていうのはどんなこと?ということも由良さんにうかがってみた。

    「レーザースキャナーでこのスケールモデルを読み込んで、モデルから逆に図面をおこしたんです」とのこと。

    つまり、一般的には設計図があって製作、実物へ、と考えがちだけど、この世界はそればかりではないと言うことなのだ。事実、今回は先に「優秀な造形」があったわけで、これの3次元の寸法をスキャンしてしまったというのだ。由良さんはそのデータから1/1の図面(大きい!)を出し、杉原さんは、自分の造形(スケールモデル)を原寸化(数値化)したこの図面をもとに、今度は、原寸大つまり、KRS-001Xの製作に取り掛かったというわけなのだ。

    いやなんとも、これは凄い連係プレーだ。杉原さんはこうして、材料の調達なども平行してすすめて、製作のスタートラインにたどり着くわけだけど、これが昨年の12月。ボートショウへの出展を決めていたわけだからまる3ヶ月はない製作スタートとなったわけで、構想期間は結構あったけれど、取り掛かってから実艇完成までは、あっという間だったように思える。それにしても全長8.4mもある、それも曲面だらけの“巨大な物体”を、一人で作ろうと思うなんて・・・。

    ボートショウは7日(日曜日)が最終日!

    早くもボートショウが最終日を迎える。KRS-001Xは、相変わらず注目の的。先日のNHKのテレビ取材に続いて、今日は専門誌OCEAN LIFEが来てくれた。色々なメディアが取り上げてくれること = 杉原さんの思いがより多くの人に伝わること、だから、これはとてもありがたいハナシなのだ。
    杉原さんが、スピードチャレンジのことを具体的に考え始めたのは2000年代になってから。90年代は現役でU.I.M.F1を走っていたし、その後もF1用のパーツ開発などで大忙しだったから、やりたくても、じっと構想を練っていたのだと思う。で、そんな杉原さんが具体的に行動をおこした第一弾が、このスケールモデルの製作ではないかと思う。

    スケールモデル1

    スケールモデル2

    ボクがこれを見せてもらったのが、2005年の夏ごろだったと覚えている。杉原さんって、器用だし、ほんと何でもできる、で、走っても速い、凄い人だよなあと思っていたのは事実なんだけれど、これを見せられたときは、本当に(さらに)びっくりした。もう頭の中に速いボートのイメージが完全にできているし、それが、こうしてスケールモデルとして作れてしまうというのは、やはり特別な何かがある人なんだと思った。今思えば、実物大の本物を作れてしまうわけだから、このスケールモデルなんて朝飯前!ってことなんだろうけれど、まあとにかく驚いたのを覚えている。実際、このスケールモデルは「イメージ」以上の具体的な構想があって、コクピットの位置(上の写真、F.シールドの後ろに四角く区切られているところが、当初のコクピットドア)やF.スポンソン(フロントの羽根形状の部分)の下部に見えるステップの形(下の写真、F.スポンソンの下側の段差状の部分)などは、実物でもそのままに近いように見える。

    IMG_0732a.jpg

    このリアルなスケールモデルが、後に風洞実験室に持ち込まれることになるわけだが、その結果がまた驚きだった。実艇であるKRS-001Xも結構、フリーハンド的に作った部分が多いと聞いているけれど、このスケールモデルも、頭の中の図面を元に「手を動かした結果」ということを聞いていたから、風洞の結果は、驚きを超えていたと記憶している。いったいこの人は何者なんだ・・・。

    というわけで、ハナシは少し遡って、これからは、どんな試行錯誤を繰り返しながら、このボートショウの出展にまで至ったか、そんなところを書いていきたいと思う。

    それと、最初に紹介しなければいけなかったのに、すっかり忘れていた「絵」をアップしておきます。それは、このプロジェクトのロゴ。新進気鋭のデザイナー、本間くんが作ってくれたもの。もうTシャツにもなっているし、今後、あちらこちらで皆さんが目にする機会が多いと思う。

    ロゴ


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    プロフィール

    ◆牛原 陽彦◆ Haru Ushihara

    Author:◆牛原 陽彦◆ Haru Ushihara
    Welcome to Haru's blog on the Sugihara's World Speed Record Challenge 2010.

    水上の世界最高速を目指すKRS-001X/Team Sugihara(杉原 豊)を牛原陽彦がリポートするOVER360kphブログへようこそ。ハイドロプレーン、プロペラ駆動、レシプロエンジンで360km/h超えを目指します。

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